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stasiの日々


2005-08-03-Wednesday インド国内旅行 デリーからアーグラーへ [長年日記]

_ []デリー駅  

朝4時半起床。義父がオレンジジュースと紅茶を用意してくれた。ありがたい。5時、まだ暗い内にガイドさんが家まで迎えに来て、車でデリー駅へ。途中、車は各国大使館が並んだ整然として広い道を通る。打って変わってデリー駅周辺はごちゃごちゃ。多くの白人のバックパッカーが駅に向かってゆく。スーツケース引いてる人なんていない。

インドの汽車はランクがいくつも分かれていて、私達は特等席(要はファーストクラス)を義父が手配してくれていた。(ちなみに『地球の歩き方』によれば、外国人は好きなクラスに座って良いらしい。)指定席の座席表の紙が駅構内と各車両にぺたっと貼ってあり、それで名前を確認する。自分の名前を見つけ、旅の気分は高まる。特等席は1車両、一等席は4車両と続くが、二等席以下は、ホームの向こう側まで歩けなかったので未確認。

ホームで韓国人女性のバックパッカーに話しかけられた。私と年は同じくらいか。私が韓国語でかえしたので彼女は驚き、嬉しそうに「あなたもアーグラーに行くのね、嬉しい!あとで会おうね、またね!」と話し、二等席へと向かって行った。バックパック背負って一人旅する彼女はたくましく、またちょっと羨ましく思った。結局その後、彼女には会わなかった。

駅のホームには色々な人がいる。特等席・一等席の前あたりには、普通に清潔な服を着て、立って電車を待つ人もいるが、その人達は電車が来るとさっさと電車に乗り込んだよう。テーブルと椅子の並んだ待合室も2つあって大勢が利用していた。

それとは別に地べたに座り込んでいる人々がいる。何を着ているのか判別できないほど汚れた服を着た人々が、ホームでゴロゴロ寝ている。寝ているのか死んでいるのかも分からない人もいる。発車5分前にホームに出てみたとき、彼らはまだ横たわっていたから電車には乗らないのだろう。ホームに住んでいるのだろうか。

_ []アーグラーへ向けてデリーから汽車に乗る

特等席ってどんなだろう?とワクワクしながら、ガイドさんについて車両先頭から汽車に乗り込んだ。車両に一歩足を踏み入れると、うわっ・・・中は薄暗く、窓に取り付けられたピンクのカーテンは全て閉まっているから、余計に閉塞感を覚える。左右二列ずつ座席が背を向けて並んでいて、私達の席はちょうど車両の真ん中辺り。座ってみるとまぁ悪くないもんだ。クーラーがガンガンに効いている。しかしまだ出発30分前。スーツケースもあるので、交代で駅と車両の探検に行こうと提案するが夫は反対。それでも説得(?)して隣の車両に行ってみた。

特等席と一等席の間では食器やジュースの箱を積み込み中で、二人の従業員は食器をかちゃかちゃ準備している。一等席に行ってみると、座席は左右三列ずつで特等席より個人の空間が狭い。やはりカーテンが閉まってる上、薄暗い蛍光灯照明は陰鬱さを醸し出している。一等席を見て自分の席に戻ると、いかに最高級であるかを実感。

さて、いざ出発。汽車は突然後ろに進んだ。あれれ座席は回らないのか?カーテンを開けるとちょうど朝日が昇ってきたところ。いよいよ旅の始まりだ!

_ []汽車の中の食事

ウキウキしてたらボトルでミネラルウォーターと紙コップが配られた。次に黄色いテーブルクロスを掛けに来た。そしてキャンディと女性にはバラのプレゼント!車両はぼろいけどサービスはファーストクラス並!!すっかり気分よくなったところへ魔法瓶とソーサー&カップが配られ、カップの中には紙包みとクラッカーが入っていた。

紙包みは紅茶2パックと粉ミルク・砂糖のセット。周りの乗客は紅茶を入れて一息ついている様子。日本から持参したアルコールティッシュで食器を拭いて、おっかなびっくり紅茶を一口二口飲んで様子を見る。夫も私もまだお腹痛くないから、きっと大丈夫なのだろう。

紅茶が下げられ、コーンフレークの入ったお皿が出てきた。

パックの牛乳が配られるかと思いきやポットに入った牛乳を各皿に従業員が注ぎ始めた。参った!これは牛乳はかけずに食べようと夫と相談するが、自分の前に来てポットには温めたミルクが入っていることが分かったので、かけてもらった。温かいコーンフレークは初めてだが結構おいしい。お腹も大丈夫そうなので全部平らげたが、後半はミルクに牛っぽい臭いが含まれていた気がする。私だけか?

その後ノンベジ(ベジタリアンでない)は、温めた食パン&バター・ジャム、バナナ、メインディッシュのオムレツ・パニール(インドのカッテージチーズ)・グリーンピース・ソーセージ、おてふき、チョコのスナックを載せたトレーが出てきた。おてふきはラベンダーの香りがぷんぷんして、とても手を拭く気になれなかった。パンはサンドウィッチ用の薄さが2枚入っていて、あまり味はしなくてべたっとしてるけど悪くもない。ちと驚いたのはオムレツで、まず日本の卵より黄色味が少なくベージュ色をしていて、食べてみるとクミンや胡椒がたっぷりきいてピリピリ辛い。これがけっこうおいしかった。オムレツの上に並んでた豆腐もどきはパニール。

食事が終わる頃、瓶に入ったライチジュースが配られた。目の前で王冠を開けてたから大丈夫だと思うけど、コーラに当たった人の話を何度も聞いたので、怖くて二口程で止めておいた。片付ける時、なんでこんなおいしいもの飲まないの、という表情をしていて申し訳なかった・・・。

そして全ての食事が終わり最後に配られたのは、アニスと砂糖の入った小さな紙パック!これを食べて消臭するのだ。これっぽっちだが、気分はすっかりインド人。

_ []アーグラー駅からタージ・マハールへ

デリーからアーグラーへ向かう電車の中から窓の風景を楽しんだ。人家の密集する地域では電車がやたら汽笛を鳴らす。それもそのはず、やたら線路に座り込んでる人々をよく見かけるから、見ていて危ないったらありゃしない。しかし線路沿いに広がる野原にもぽつぽつ人を見かける。彼らは何もない野原で一体何をしているのだろう?・・・彼らは用を足しているらしい。下半身に布切れを巻いて行くのだ。水の入ったペットボトルを持参して、左手で洗い流すという。不浄の左手。人間ウォシュレットは『地球の歩き方』によれば、階層には関係なく、これがインド式とのこと。

2時間ほど乗ったか。アーグラー駅に到着。運転手さんが迎えに来ていて、車で近くの広場に向かう。数年前からタージ・マハールは携帯品チェックが厳しくなり、車も半径?キロ以内は入れないとか、カメラはいいがガムは持込禁止だという。身支度をして、広場で市バスのマイクロバス版みたいな電気自動車に乗り換える。道路はあちこちに小さな土の塊が点在している。牛の糞だ。ウィーンでも馬の糞が落ちてたし雨が降るとべちゃべちゃしてたから、それと同じじゃんと思ってみたが、インドは量が違う。

タージマハール入口は、男女別に検閲場所があった。私はコンパクトが怪しまれたが、爆弾じゃないと分かり没収されずに済んだ。一旦敷地に入るといわゆる観光地。いっぱい玉葱を載せた建物がでーんとあって、そこをくぐると美しいタージマハールが目の前に現れ整然とした庭園が広がる。インドも日本も同じアジアだし類似してるだろうと思ってたが、インドって日本よりはるかに西側世界に近かったんだ、とか当たり前のことを実感する。それにしても太陽が容赦なく照り付けて暑い。

タージマハールは二階に上れるが靴を脱がないといけない。ホントは裸足が望ましいのだろうが、私達は義父が気遣って用意してくれた使い捨て靴下に履き替えて臨んだ。もっとも照り付ける陽光の下なら、どんな菌もしっかり消毒されてるだろうけど。タージマハールをいざ間近で見ると大理石による幾何学模様が美しく、白さが視覚的に暑さを和らげてくれる気がする。でもやはり遠くから見た方が素敵かも。